金子みすゞさんもHSP

娘が、今小学校で勉強していると言う
金子みすゞさんの詩のプリントを持ってきて私に見せてくれました。

「ほらほら!ママ、見てみて!金子みすゞさん、い〜よね〜〜〜!!」と
HSPの娘も金子みすゞさんの詩がとても好きです。

金子みすゞさん、詩から察するに、私はまず間違いなくHSPだと思いますが、いかがでしょうか。

公共広告機構等のCMでも今、金子みすゞさんの「こだまでしょうか」の詩が使われていますね。

みずみずしい感性や繊細な感受性が、とてもHSPぽいなあ

とても素敵だなあと思います。

金子みすゞさんの詩には、感受性の近さを強く感じます。

読んでいて「そうそう!」て感じ。

HSPの方の中にはそんな風に感じる方も多いのではないでしょうか。

HSPなら特に深く理解、共感することができることと思います。

金子みすゞさんの詩はたくさんありますが、そのうちのいくつか、特に好きな詩を抜粋してみました。





 大漁

  朝焼け小焼けだ大漁だ
  オオバいわしの大漁だ

  浜は祭りのようだけど
  海の中では何万の
  いわしの弔いするだろう


・非常にいろんな面、いろんな立場から物を見る、感じることができるのはHSPならではですね。
(この場合はイワシの立場から見ていますが笑)

 

 不思議

  わたしは不思議でたまらない
  黒い雲から降る雨が
  銀に光っていることが

  わたしは不思議でたまらない
  青いクワの葉食べている
  蚕が白くなることが

  わたしは不思議でたまらない
  たれもいじらぬ夕顔が
  一人でパラリと開くのが

  わたしは不思議でたまらない
  たれに聞いても笑ってて
  あたりまえだということが

 


 星とタンポポ

  青いお空のそこ深く
  海の小石のそのように
  夜がくるまで沈んでる
  昼のお星は目に見えぬ

  見えぬけれどもあるんだよ
  見えぬものでもあるんだよ


  散ってすがれたタンポポ
  川原のすきにだぁまって
  春のくるまで隠れてる
  強いその根は目に見えぬ

  見えぬけれどもあるんだよ
  見えぬものでもあるんだよ

 

 土と草

 母さん知らぬ
 草の子を、
 なん千萬の
 草の子を、
 土はひとりで
 育てます。

 草があおあお
 茂ったら、
 土はかくれて
 しまうのに。





みえない星

空のおくには何がある。

  空のおくには星がある。

星のおくには何がある。

  星のおくにも星がある。
  めには見えない星がある。

みえない星はなんの星。

  おともの多い王様の、
  ひとりのすきなたましいと、
  みんなに見られたおどり子の、
  かくれていたいたましいと。


 
 空いろの花

  青いお空の色してる、
  小さい花よ、よくおきき。

  むかし、ここらに黒い瞳(め)の、
  かわいい女の子があって、
  さっきわたしのしてたよに、
  いつもお空をみていたの。

  一日青ぞらうつるので、
  おめめはいつか、空いろの、
  小さな花になっちゃって、
  いまもお空をみているの。

  花よ、わたしのおはなしが、
  もしもちがっていないなら、
  おまえはえらいはかせより、
  ほんとの空を知っていよ。

  いつもわたしが空をみて、
  たくさん、たくさん、考えて、
  ひとつもほんとは知らぬこと、
  みんなみていよ、知っていよ。

  えらいお花はだァまって、
  じっとお空をみつめてる。
  空にそまった青い瞳(め)で、
  いまも、あきずにみつめてる。

 

 お花だったら


  もしもわたしがお花なら、
  とてもいい子になれるだろ。

  ものが言えなきゃ、あるけなきゃ、
  なんでおいたをするものか。

  だけど、だれかがやって来て、
  いやな花だといったなら、
  すぐにおこってしぼむだろ。

  もしもお花になったって、
  やっぱしいい子にゃなれまいな、
  お花のようにはなれまいな。




 すずめのかあさん

  子どもが
  子すずめ
  つかまえた。

  その子の
  かあさん
  わらってた。

  すずめの
  かあさん
  それみてた。

  お屋根で
  鳴かずに
  それ見てた。



あわ雪

雪がふる、
雪がふる。

落ちては消えて
どろどろな、
ぬかるみになりに
雪がふる。

兄から、姉から、
おととにいもと、
あとから、あとから
雪がふる。

おもしろそうに
まいながら、
ぬかるみになりに
雪がふる。

水すまし

一つ水の輪、一つ消え、
三つまわれどみな消える。

水にななつの輪をかけば、
まほうはあわと消えよもの。

お池のぬしにとらわれの
いまのすがたは、水すまし。

きのうもきょうも、青い水、
雲は消えずにうつるけど、

一つ、二つ、と水の輪は、
一つあとから消えてゆく。



港に着いたふねのほは、
みんな古びて黒いのに、
はるかのおきをゆくふねは、
光りかがやく白いほばかり。

はるかのおきの、あのふねは、
いつも、港へつかないで、
海とお空のさかいめばかり、
はるかに遠く行くんだよ。

かがやきながら、行くんだよ。



二つの草

ちいさいたねはなかよしで、
いつもやくそくしてました。
「ふたりはきっと一しょだよ、
ひろい世界へ出るときは。」

けれどひとりはそぞいても、
ほかのひとりはかげもなく、
あとのひとりが出たときは、
さきのひとりはのびすぎた。

せいたかのっぽのつばめぐさ、
秋の風ふきゃさやさやと、
右に左に、ふりむいて、
もとの友だちさがしてる。
ちいさくさいた足もとの、
おみこし草を知りもせず。




すぎとすぎな

一本すぎはうたう。
あの山のむこうの
大きな海のなかに、
ちょうちょうのような、
白帆(しらほ)を三つ、みたよ。

一本すぎはうたう。
あの山のむこうの
大きな町のなかで、
青銅(からかね)のぶたが、
水をふくのをみたよ。

一本すぎの下で
すぎながうたう。
わたしもいつか、
あんなにのびて、
遠くの遠くをみようよ。



いいこと

古い土べいが
くずれてて、
墓(はか)のあたまの
みえるとこ。

道の右には
山かげに、
はじめて海の
みえるとこ。

いつかいいこと
したところ、
通るたんびに
うれしいよ。




はすとにわとり

どろのなかから
はすがさく。

それをするのは
はすじゃない。

たまごのなかから
とりが出る。

それをするのは
とりじゃない。

それにわたしは
気がついた。

それもわたしの
せいじゃない。