亡くなった人との一体感を感じること

自分自身に、もう亡くなったけれども、ずっと、自分の「心の母」であった叔母がいます。


そして、今も、近くで見守っていてくれる感覚がしている、いつも私の後ろあたりにそっといてくれる叔母。

自分が叔母のために作ったモーニングジュエリー(喪の宝石)を、見てもらいたいような気持ちがずっとありました。



モーニングジュエリーを作ることについては、以前からずっと考えてきましたが

喪服に付けるネックレスとイヤリングセットのような、堅く形式ばったモーニングジュエリーではなく、

普段着に付けられるような、普段の生活で気軽につけられて、亡き人を偲べるような

いつもその人と一緒にいるような感覚が持てるような

その人が自分を守ってくれているのが実感できるような

そんなモーニングジュエリーが作りたいとずっと思っていました。


ただ、モーニングジュエリーは、どうしてもイメージ的に暗い部分があったりするし

作ろうかなと思っても、普段の生活に流されてしまい、なぜかなかなか今まで作ってきませんでした。


でも、大震災で、姫川薬石の販売に携わる中、

震災の後も一生懸命ご家族や子供さんたちを守ろうとしている方々

そして亡くなった人を思っている方々がたくさんいらっしゃることを、肌で感じました。


震災後は、どこか、日本国中が、「喪に服している」ような感じがします。

不安な方、傷ついた人がたくさんいらっしゃるのだと思います。

少しでもそういう方々の心を癒すために、もしそういうジュエリーが必要な方がいらっしゃるならば、

普段使いのモーニングジュエリーを作って差し上げるのも良いかもしれないと思いました。




モーニングジュエリーといえばジェットですが、特にイギリスでは

ヴィクトリア女王が夫のアルバート公の死後、25年間このジェットを身につけて喪に服されたことで有名です。

ジェットは化石の一種です。

1億8千万年前のジュラ紀時代の針葉樹の化石で、柔らかな質感の黒い艶が上品な印象です。


現在でも多くの国で正式な「モーニングジュエリー」とされています。アンティークジュエリーにも使われています。

人類最古の宝石の一つでもあり、英国宝石学協会や日本の宝石団体協議会によっても、
正しく宝石として認められていますが、ただ、喪服につけるようなタイプが多いです。

私はこれをもっと普段着にもつけられるようなデザインで作りたいです。


ジェットは黒いのですが、他の黒い天然石、オニキスやブラックスピネルとは、まったく違った柔らかで高貴な輝きを持ちます。



私には、「心の母」という人がいます。


叔母なのですが、子供のころは、本当の自分の母親はその人だと思っていました。(でも勘違い)


叔母は、遠方(鹿児島)の裕福な家に嫁ぎ、結婚式は驚くほど豪華でしたが

嫁ぎ先が非常に嫁に対して厳しい閉鎖的な家だったため、結婚後は、親戚とも友達とも会うこともままならなくなりました。

私も叔母と会えなくなり、とても寂しい思いをしました。


そしてその後、叔母は病気になり、ずっと会えないまま、とても若くして40代で亡くなってしまいました。


(お葬式に行って聞きましたが、その家では、今までお嫁さんが3人亡くなったそうで、3人目が叔母です。
 ちょっと普通の家ではないですね。家の中でどういうことがあっていたのか・・・)

お葬式には私も参加しましたが、現実感がなく、とても叔母が亡くなったとは思えませんでした。


なぜか全然悲しくありませんでした。


むしろ、変な話ですが、どちらかと言うと、「これで良かった」とほっとしたくらいでした。
(非常に不謹慎ですが誤解しないで頂きたいのですが)


なぜなら、以前よりも、叔母を身近に感じられるようになったからです。



また、叔母は嫁ぎ先で非常に苦労していたようで可哀想だったのですが、子供だった私は無力で何もできませんでした。


「叔母ちゃん、やっと楽になれて良かったね」と思いました。



棺の中で眠っている叔母の顔を見たとき

「からだというのは、本当に魂の入れ物に過ぎないんだなあ」と思いました。

叔母のからだの中には、もう叔母はいないんだなと感じました。


からだがあると、時間と場所に縛られてしまいます。

だから遠方に嫁いだ叔母に、私はずっと会うことができませんでした。

叔母は今、からだを離れて、自由になったのだと思いました。

そしてその後、ずっと、叔母がとても身近にいるように感じるようになりました。

叔母が生きていたときも、時折、お風呂場等で、叔母が私を呼ぶ声が聞こえることがありましたが、

亡くなってからのほうがとても身近に感じられるようになりました。


今もそっと近くで見守っていてくれるのを感じます。


うまくいえませんが、何か「一体感」みたいなものがあります。



大震災では多くの方が亡くなられました。

現実とは思えないようなことで、あまりにも怖すぎて私はほとんどニュースを見ることができませんでした。


たくさんの方が亡くなられましたが


亡くなった方々は、その後、大事なあなたのそばで、きっと寄り添うように見守っていて下さっていることと思います。



感じたことのない人には、説明するのがとても難しいですが、

その人にとって、とても大事な人が亡くなった後

「亡くなった人との一体感を感じる幸せ」というものも存在します。



今まだ制作中ですが、

もし私が作った、ジェットのアクセサリーを身につけることで、少しでも癒しを感じていただけたら・・・

大事な人が、あなたを近くで見守っていてくれることを感じていただけたら・・・と思います。